本好きさんからの課題

暗いところで待ち合わせ』 乙一/著
自動車事故が原因で視力を失ってしまい、一人暮らしをしている女性・ミチルの家に、殺人容疑で追われている男・アキヒロが忍び込んで奇妙な同居生活を始めるという奇抜な設定。
盲目のミチルは少しの違和感から、次第にアキヒロの存在に気づく。しかしミチルはアキヒロを追い出そうとはしない。このような奇抜な設定は乙一らしさでもあり、彼の持ち味でもある。
会話はないのにお互いの存在を徐々に認めていく様子や、それぞれに孤独を抱えた心情が変化していく様も大変興味深い。
また、この作品はミステリー小説の一面も持っている。駅のホームで命を絶った男を殺したのは一体誰なのか。本当にアキヒロが犯人なのか。それぞれの視点から描かれる同居生活の中で、じわりじわりとその真相が明らかになってくる。
そんな中での一節。
『一人きりで生きれば孤独さえなくなると、そう考えたのは間違いだった。ただ、自分の孤独にさえ気づかなくなるだけだった。』
一人でも生きていけると自分に言い聞かせて、あえて他人との繋がりを避けてきた自分を奮い立たせ、孤独と向き合い乗り越えていくのは生半可なことではない。タイトルや表紙からは想像しづらいが、実は切なくも温かい小説なのである。(本田宏美)

住吉重彦

住吉重彦(JAGDA鹿児島)

鹿児島を中心にデザインのお仕事をしています。代理店からの依頼で仕事をするのではなく、直接クライアントと話をして進める形を主にとらせてもらっています。直接だと細かなニュアンスや削減できる箇所がダイレクトに解るのでプレッシャーもありますがやりがい のある形です。